経口移行加算[平成27年度介護報酬改定]

経口移行加算 28単位

注1 別に厚生労働大臣が定める基準に適合する指定介護老人福祉施設において、医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、現に経管により食事を摂取している入所者ごとに経口による食事の摂取を進めるための経口移行計画を作成している場合であって、当該計画に従い、医師の指示を受けた管理栄養士又は栄養士による栄養管理及び言語聴覚士又は看護職員による支援が行われた場合は、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り、1日につき所定単位数を加算する。ただし、 栄養マネジメント加算を算定していない場合は算定しない。

注2 経口による食事の摂取を進めるための経口移行計画に基づき、 管理栄養士又は栄養士が行う栄養管理及び言語聴覚士又は看護職員が行う支援が、当該計画が作成された日から起算して180日を超えた期間に行われた場合であっても、経口による食事の摂取が一部可能な者であって、医師の指示に基づき継続して経口による食事の摂取を進めるための栄養管理及び支援が必要とされるものに対しては、引き続き当該加算を算定できるものとする。

※厚生労働省の介護報酬改定に関する省令及び告示から一部抜粋し、体裁を整えております。
※平成27年度介護報酬改定で変更となった箇所にアンダーラインを入れています。

コホート研究 cohort study

歯科の論文発表や、歯学部による研究発表時に「コホート研究」と書いてあることがあります。

これは、ある地域やある属性の調査対象者に対してある期間にわたってお口の状態(歯科疾患や歯の数等)や、全身の健康状態(全身疾患、健康状態等)、生活習慣等を調査して、研究対象となる疾病の発生を比較することで、それらの因果関係を明らかにする観察的研究です。

また中には「後ろ向きコホート研究」と記されている論文もありますが、これは事後で罹患やした人を追跡調査することで疾病の発生を確認する手法です。

歯科衛生士の専門的口腔ケア 利用負担額

適用される保険の違い

基本的には医療保険または介護保険が適用されるので、利用料金は全国一律です。厚生労働省による保険改正が、介護保険は3年おき、医療保険は2年おきに実施されますので負担金額の変更となる場合があります。また自己負担割合が1割の方と、2割の方、3割の方によって自己負担額は変動します。大前提として、ご本人がご自身の力で、かかりつけ歯科医院への通院が困難だったり、寝たきりや疾患による外出が不能、認知症の進行による見当識障害によって単独外出が出来ない状態であることをご認識下さい。その上で、まず居住する場所によって医療保険か、介護保険が決定されます。

介護保険が優先される場所とは以下の通りです。(介護保険被保険者証をお持ちの場合。介護認定がなければ医療保険となります)

<居宅または居住系サービス>

  • ご自宅、または生活の拠点となっているお住まい
  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • 健康型有料老人ホーム
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • サービス付高齢者向け住宅
  • 高齢者専用賃貸住宅
  • 高齢者向け優良賃貸住宅
  • 高齢者向け分譲集合住宅(シニア分譲マンション)
  • 軽費老人ホーム
  • ケアハウス A型・B型・都市型

以下は医療保険が優先されます。(健康保険被保険者証、後期高齢者医療被保険者証をお持ちの方)

<病院、または社会福祉系施設サービス>

  • 歯科のない病院、病室、病床
  • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設

専門的口腔ケアの負担金額

下記の条件が当てはまる場合、負担割合に応じた以下料金となります。

  1. 利用者本人が介護保険被保険者証を持っている
  2. 居宅または居住系サービスにお住まい
  3. 歯科医師から継続的な療養管理指導の指示がある

歯科衛生士による居宅療養管理指導(介護予防サービス・介護サービス) 352単位
1割負担の場合 350円/回
2割負担の場合 700円/回

※平成27年度改正後の料金です。尚、サービスの利用は月に4回が上限となります。但し10円未満の端数については四捨五入されるので、他サービスを併用していると実質負担額は異なる場合が御座います。

上記の条件に当てはまらない場合で、歯科医師により衛生指導実施の指示があった場合は、負担割合に応じた以下料金となります。

訪問歯科衛生指導(複雑) 360点
1割負担の場合 360円/回
2割負担の場合 720円/回
3割負担の場合 1,080円/回

※平成24年度改正後の料金です。平成28年度改正でも料金に変更はありません。尚、サービスの利用は月に4回が上限となります。10円未満の端数については四捨五入されるので、他サービスを併用していると実質負担額は異なる場合が御座います。

その他福祉制度の利用

医療保険、介護保険制度以外にも利用出来る医療福祉制度は以下となります。

  • 医療福祉費支給制度による医療福祉費の助成(通称:マル福)
    制度を利用することにより、全部または一部の負担金額を市区町村が負担します。
  • 生活保護制度による医療福祉費用の受給
    制度を利用することにより、市区町村によって医療福祉受給証が交付されます。

※尚、生活保護の場合は、市区町村によって利用出来る範囲に制限がある場合もあります。必ずご利用前に役所の担当部署にてご確認下さい。

在宅療養支援歯科診療所とは

在宅療養支援歯科診療所

あまり知られていませんが、歯医者の中でも高齢者向けの歯科医療の中で、在宅医療を提供出来る歯科医院について複数の基準を満たすことで「在宅療養支援歯科診療所」として認可されます。

施設基準の為の届出項目は複数ありますが、以下は満たさなければいけない基準の一部を抜粋したものです。

  1. 高齢者の口腔機能管理に係る研修を受けた常勤歯科医師がいること。
  2. 歯科衛生士がいること。
  3. 既に在宅医療を行っていること。

つまり昨日今日で往診始めましたという医院ではなく、以前から在宅医療を行っている実績があり、且つ常勤の歯科医師は定められた講習を受けており、歯科衛生士も在籍している歯科診療所だということが想像出来ます。

施設や病院等で連携する歯科医院選びの参考情報として、「在宅療養支援歯科診療所」の登録有無を確認してみましょう。

入れ歯の使用と認知症

入れ歯を使用していない人の認知症発症リスクが上昇

厚労省研究班が愛知県の健康な65歳以上の高齢者 4425 名を継続的に調査し、データを分析したところ、認知症発症に影響する年齢、治療疾患の有無や生活習慣を考慮したリスク度合いの計算で20 歯以上の人に対して歯がほとんどなく義歯未使用の人の認知症発症リスクは 1.9倍※に上昇したという報告があります。

※平成22年度の厚生労働科学研究 主任研究者:近藤克則氏 日本福祉大学 教授
神奈川歯科大学 社会歯科学講座歯科医療社会学分野 准教授 山本龍生氏 2011/1/7付 プレスリリースより

かかりつけ歯科医院の有無と認知症

かかりつけ歯科医院がない人は、認知症発症リスク上昇

厚労省研究班が愛知県の健康な65歳以上の高齢者 4425 名を継続的に調査し、データを分析したところ、認知症発症に影響する年齢、治療疾患の有無や生活習慣を考慮したリスク度合いの計算で、かかりつけ歯科医院のある人に対して、無い人の認知症発症リスクが1.4倍に上昇したという研究報告があります。

歯周病(ししゅうびょう)

歯周病の発症要因は複雑であり、多因子積層型疾患と呼ばれています。歯周病を引き起こす細菌群による感染症、免疫力の低下、加齢、唾液の性状変化、噛み合わせの問題など、全身の様々な状態が関連しています。

歯周病の特徴として、歯垢(プラーク)が原因となって発症し、歯を支えている歯槽骨が破壊され、さらに進行すると周囲組織が歯を支えられずに歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病は自覚症状がなく、知らず知らずのうちに歯肉炎から進行して、その顎の骨(歯槽骨)を溶かすことを歯周病(歯槽膿漏)と言い、気付いた時には取り返しがつかない状態になっていることがあります。歯周病は、”サイレントキラー”という別名があり、本人にも気づかれずに密かに忍び寄って、そして歯を殺す《暗殺者》のような病気です。

歯の喪失調査では、40代から歯周病による抜歯が急激に増加し、そしてその高い割合は40代以降は低下することなく維持されます。また50代からは歯を失った原因の半数以上が歯周病です。年齢別 歯の喪失グラフはこちら

 

やがて歯が抜ける。歯周病の進行

高齢者の歯周病 健康な状態『健康な状態』
歯と歯ぐきの間の隙間がなく、引き締まっている状態

 

 

高齢者の歯周病 歯肉炎『歯肉炎』
歯茎が腫れて(発赤なども)、出血や口臭などの症状が出ている状態

 

 

高齢者の歯周病 軽度歯周病『軽度歯周病』
歯ぐきが腫れ上がったり、歯磨きや食事中に出血する状態

 

 

高齢者の歯周病 中度歯周病『中度歯周病』
歯ぐきの炎症が慢性化し、歯槽骨(歯の根を支える骨)が溶け始めた状態

 

 

高齢者の歯周病 重度歯周病『重度歯周病』
歯槽骨が溶けて、歯がグラグラしたり、歯根が露出した状態

 

 

高齢者の歯周病 重度歯周病が進行し歯の脱落更に放置して歯に支えがなくなると、歯が抜けます。
もちろんこの時点で治療を始めても、抜歯する以外に治療の方法はありません。

 

歯が抜けた箇所は歯茎の上にダミーの歯を作るか、周りに歯がない場合は入れ歯を作ることで噛み合わせの状態を維持することが出来ます。

 

歯周病の感染率はギネス®級

歯を失う原因は、全体の4割以上を歯周病が占めています。また成人のうち5人に4人が感染しているとも言われており、非常に感染者が多く、且つそれは歯を失うリスクが最も高い病気なのです。世界的に見ても歯周病に感染または発症している人は多く、世界記録を管理するギネスでは過去に「人類史上最も感染者が多い病気」として歯周病が登録されました。