不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)

肺炎を引き起こす、不顕性誤嚥

「不顕性誤嚥」とは、漢字からも推測できる通り、~誤って飲み込んでいるのが目に見えない~という意味です。誤嚥性肺炎を頻繁に引き起こす方に多く、またむせたり、嘔吐したりと反射機能が正常に働いていれば、気管に飲食物や胃の内容物が誤って入っても喀出することが出来ますが、認知症の進行や、服用している薬、寝たきり状態が続くと、気管に入っても何の反射も見られずにそのまま肺まで流れてしまうことがあります。

これを不顕性誤嚥と言います。不顕性誤嚥は、経口摂取している、していないの有無に依らず、夜間就寝時でも起こり得る症状です。

具体的には夜間就寝中に、お口の中が不衛生で細菌やウイルスなどの病原微生物を含んだ唾液が本来は食道に流れなければいけないところ、嚥下機能の低下によって気管に流れ込んでしまい、結果として肺炎や夜間の急な発熱を引き起こしたりします。

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)

ご存じですか?誤嚥性肺炎

国の統計によると「肺炎」は、悪性新生物(がん)、心疾患に次ぐ第3位の死因です。これは脳梗塞(のうこうそく)や、脳卒中(のうそっちゅう)などの脳血管疾患を上回っています。

「誤嚥性肺炎」死因別死亡数の割合 平成26年度 人口動態調査

肺炎は、ウイルスや細菌などの病原微生物が肺に感染し、炎症を引き起こして発熱などを起こす病気です。病原微生物は鼻や口から空気とともに気管に侵入しますが、健康な場合は抵抗力があるために体内の防御反応によって排除され、肺まで到達せずに発症せずに済む場合もあります。しかし病気や加齢、粘膜の乾燥によっては免疫力や、抵抗力が低下して、防御機能が正常に働かずに、結果として肺炎に罹ってしまいます。

この肺炎は、原因となる細菌やウイルスや、他の全身疾患が原因となるものなど多くの種類があります。その中で高齢者にとって割合の多い肺炎の中に「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」があります。誤嚥性肺炎とは、嚥下機能の低下などによって食物や胃の内容物が誤って気管に入り、肺に到達することで炎症が引き起こされる肺炎の種類です。

70歳以上の高齢者が一般の生活の中で発症した肺炎のうち、80.1%が誤嚥性肺炎であるという調査結果もあり、高齢者にとってはより身近で、注意しなければいけない病気です。高齢になると肺炎発症による身体的、精神的負担は非常に大きくなり、入院となるとご本人だけでなくご家族にも負担が増え、経済的な負担も増えます。

誤嚥性肺炎の予防方法とは