在宅療養支援歯科診療所とは

在宅療養支援歯科診療所

あまり知られていませんが、歯医者の中でも高齢者向けの歯科医療の中で、在宅医療を提供出来る歯科医院について複数の基準を満たすことで「在宅療養支援歯科診療所」として認可されます。

施設基準の為の届出項目は複数ありますが、以下は満たさなければいけない基準の一部を抜粋したものです。

  1. 高齢者の口腔機能管理に係る研修を受けた常勤歯科医師がいること。
  2. 歯科衛生士がいること。
  3. 既に在宅医療を行っていること。

つまり昨日今日で往診始めましたという医院ではなく、以前から在宅医療を行っている実績があり、且つ常勤の歯科医師は定められた講習を受けており、歯科衛生士も在籍している歯科診療所だということが想像出来ます。

施設や病院等で連携する歯科医院選びの参考情報として、「在宅療養支援歯科診療所」の登録有無を確認してみましょう。

入れ歯の使用と認知症

入れ歯を使用していない人の認知症発症リスクが上昇

厚労省研究班が愛知県の健康な65歳以上の高齢者 4425 名を継続的に調査し、データを分析したところ、認知症発症に影響する年齢、治療疾患の有無や生活習慣を考慮したリスク度合いの計算で20 歯以上の人に対して歯がほとんどなく義歯未使用の人の認知症発症リスクは 1.9倍※に上昇したという報告があります。

※平成22年度の厚生労働科学研究 主任研究者:近藤克則氏 日本福祉大学 教授
神奈川歯科大学 社会歯科学講座歯科医療社会学分野 准教授 山本龍生氏 2011/1/7付 プレスリリースより

かかりつけ歯科医院の有無と認知症

かかりつけ歯科医院がない人は、認知症発症リスク上昇

厚労省研究班が愛知県の健康な65歳以上の高齢者 4425 名を継続的に調査し、データを分析したところ、認知症発症に影響する年齢、治療疾患の有無や生活習慣を考慮したリスク度合いの計算で、かかりつけ歯科医院のある人に対して、無い人の認知症発症リスクが1.4倍に上昇したという研究報告があります。

歯周病(ししゅうびょう)

歯周病の発症要因は複雑であり、多因子積層型疾患と呼ばれています。歯周病を引き起こす細菌群による感染症、免疫力の低下、加齢、唾液の性状変化、噛み合わせの問題など、全身の様々な状態が関連しています。

歯周病の特徴として、歯垢(プラーク)が原因となって発症し、歯を支えている歯槽骨が破壊され、さらに進行すると周囲組織が歯を支えられずに歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病は自覚症状がなく、知らず知らずのうちに歯肉炎から進行して、その顎の骨(歯槽骨)を溶かすことを歯周病(歯槽膿漏)と言い、気付いた時には取り返しがつかない状態になっていることがあります。歯周病は、”サイレントキラー”という別名があり、本人にも気づかれずに密かに忍び寄って、そして歯を殺す《暗殺者》のような病気です。

歯の喪失調査では、40代から歯周病による抜歯が急激に増加し、そしてその高い割合は40代以降は低下することなく維持されます。また50代からは歯を失った原因の半数以上が歯周病です。年齢別 歯の喪失グラフはこちら

 

やがて歯が抜ける。歯周病の進行

高齢者の歯周病 健康な状態『健康な状態』
歯と歯ぐきの間の隙間がなく、引き締まっている状態

 

 

高齢者の歯周病 歯肉炎『歯肉炎』
歯茎が腫れて(発赤なども)、出血や口臭などの症状が出ている状態

 

 

高齢者の歯周病 軽度歯周病『軽度歯周病』
歯ぐきが腫れ上がったり、歯磨きや食事中に出血する状態

 

 

高齢者の歯周病 中度歯周病『中度歯周病』
歯ぐきの炎症が慢性化し、歯槽骨(歯の根を支える骨)が溶け始めた状態

 

 

高齢者の歯周病 重度歯周病『重度歯周病』
歯槽骨が溶けて、歯がグラグラしたり、歯根が露出した状態

 

 

高齢者の歯周病 重度歯周病が進行し歯の脱落更に放置して歯に支えがなくなると、歯が抜けます。
もちろんこの時点で治療を始めても、抜歯する以外に治療の方法はありません。

 

歯が抜けた箇所は歯茎の上にダミーの歯を作るか、周りに歯がない場合は入れ歯を作ることで噛み合わせの状態を維持することが出来ます。

 

歯周病の感染率はギネス®級

歯を失う原因は、全体の4割以上を歯周病が占めています。また成人のうち5人に4人が感染しているとも言われており、非常に感染者が多く、且つそれは歯を失うリスクが最も高い病気なのです。世界的に見ても歯周病に感染または発症している人は多く、世界記録を管理するギネスでは過去に「人類史上最も感染者が多い病気」として歯周病が登録されました。