[Q&A]舌につく白い汚れは何ですか?

舌表面に付着している白色または茶褐色の汚れは舌苔(ぜったい)と呼ばれる苔状の汚れです。舌苔の付着原因は、その方の全身状態や服薬、口腔内の状態(唾液量や乾燥の度合い)など様々です。
普段使っている歯ブラシで除去清掃すると嘔吐反射が起こったり、また除去する程度についても判断がつきにくい為に、専門職種ではない介護現場の職員にとって舌のケアは難敵です。更に開口量が小さい、開口保持が難しい場合には汚れの程度や範囲すら判断出来ません。

では自然に減少するのを待てばいいのでしょうか?

2015年に「舌苔の付着面積が大きい人は、呼気中のアセトアルデヒド濃度が高い」ことを岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の研究グループが突き止めました。口の中のアセトアルデヒドは、口や喉の癌の原因となることが指摘されており、舌を清掃することは非常に重要なことです。

日常的な口腔ケアでは難しい専門性を伴うケアには、専門職種である歯科医師、歯科衛生士との連携の下で進めていきましょう。

平成28年度診療報酬改定の基本方針

平成27年12月に社会保障審議会医療保険部会及び社会保障審議会医療部会により示された基本方針は以下の通り。歯科関係箇所を一部抜粋。

・超高齢社会における医療政策の基本方向
・地域包括ケアシステムと効果的・効率的で質の高い医療提供体制の構築
・経済成長や財政健全化との調和
上記の基本方針から、改定に関しての基本的な視点と具体的な方向性は以下の通り。

  1. 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
    ・地域包括ケアシステム推進のための取組の強化
    (1)複数の慢性疾患を有する患者に対し、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するなど、個別の疾患だけではなく、患者に応じた 診療が行われるよう、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の機能を評価
    (2)医療機関間の連携、医療介護連携、栄養指導等、地域包括ケアシステムの推進のための医師、歯科医師、薬剤師、看護師等による多職種連携の取組等を強化
  2. 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を 実現する視点
    ・ 複数の慢性疾患を有する患者に対し、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するなど、個別の疾患だけではなく、患者に応じた診療が行われるよう、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の機能を評価
  3. 重点的な対応が求められる医療分野を充実する視点
    口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進

超高齢化社会の歯科医療体制の在り方として、「かかりつけ歯科医の機能として、口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進の為、療養上の指導、服薬管理、健康管理等の対応を継続的に実施するよう医療機関間の連携、医療介護連携等を強化する」ことが取りまとめられています。

医療機関間の連携、医療介護連携による他職種連携について、対応可能な歯科医療機関をお探しの病院、介護施設等の関係者の方は、対応エリアをご参照下さい。

[Q&A]食後すぐの歯磨きは良いの?悪いの?

数年前からテレビ番組やインターネット上では~食後すぐの歯ブラシは歯を削ってしまうので良くない~という報道や、記事が増えています。詳しく調べてみると、アメリカの歯科医師が食事中に炭酸や酸性ソフトドリンクを飲んで食後20分以内に歯ブラシするとエナメル質や象牙質に酸が届き易く、飲まない時に比べて歯を早く溶かしてしまうというインタビュー記事がきっかけとなっているようです。

しかし日本において、また特に高齢者がご自身で作る食事や介護施設で提供される食事で、こうした炭酸や酸性ソフトドリンクを飲みながら食事するという習慣はあまりないように思います。

そもそもお口の中は食後すぐに酸性となります。その後は唾液の緩衝作用により1時間程かけて徐々に中和され、カルシウム等が供給されることで再石灰化が行われます。一方で食事によって栄養素が取り込まれた温かく湿ったお口の中は、ウイルスや細菌の増殖に最適な環境です。

歯の摩耗を心配するよりも抵抗力や唾液分泌量が低下しやすい高齢者にとっては、出来るだけ早く口内清掃を行ってもらうことの方が大事です。